中江有里 新 プロフィール<完全版>

 少し更新に間が空きまして、申し訳ありません。N社長も内心怒っていると思われます。お許しくださいませ(´・ω・`)
 さて、今回のお題。「鳴かぬなら」と頭につけて記してみると「鳴かぬなら 鳴くまで待とう 時鳥」。鳴かない時鳥を前にじっと待っている。つまり「機が熟すまで辛抱強く待ってみよう」という意味。「時鳥」は夏の季語です。
 織田信長は「泣かぬなら殺してしまえ時鳥」、豊臣秀吉は「鳴かぬなら鳴かしてみしょう時鳥」といったのを受けた句として、家康の忍耐強さを表しています。
 この3つの句を初めて知ったのはいつだったか、すっかり忘れてしまいました。ただひとつ覚えているのは、3句を聴き比べて「わたしは断然家康派だわ!」と思ったこと。
 振り返れば小学6年の頃、長所は「根気」と書いたわたしですから、家康派なのは当たり前なのです。織田信長の強引さや秀吉の積極性は一切ない。だけどじっと待つ根気なら誰にも負けない、と家康を(勝手に)近しく思いました。長きに渡る江戸幕府を開いたのは家康。辛抱強さが結果的には一番強いのでは、と(勝手に)勇気づけられていました。
 運命を感じたのが、家康と誕生日が一緒だとわかったとき。「やっぱり家康とわたしはおんなじだわ」とまたまた(勝手に)喜んでいました。
 ところで「待つ」という行為は、俳優の仕事みたいなものです。役が来るまで待ち、いざ撮影に入ったら、自分の出番が来るまで待ち続ける。そうして上演、放映までまた待つ。俳優とは我が強いと思われるかもしれませんが、一方で自分の思い通りになることなどなく、ひたすら待ち続ける忍耐のいる仕事です。「待つ」ことができないせっかちな人が撮影現場に来ると、多分ストレスを感じるでしょう。5分ほどのシーンを何時間もかけて撮ることもあるのですから。実に地味で根気がいります。
 あるとき、俳優だけの集まりでお酒を酌み交わしていた時に、一人の男優が言いました。
「あー当たり役欲しいなぁ」それを聞いた別の俳優が答えました。
「当たり役なんてものは、10年に1回来ればいいほうだよ」
 俳優の言葉にその場にいた人々はどっと沸きました。しかしわたしはひとり思っていました。
「10年も待つ?冗談じゃない。当たり役が来ないなんて、なんて消極的な!来ないなら自分で作ればいいじゃない」
 その後わたしは脚本を書き、自分のやりたい役をイメージしていきました。
……あれ、断然家康派のはずが、秀吉っぽいじゃないですか!
 信長にはなれませんが、自分の中には家康っぽいところと秀吉っぽいところがあるのだと思います。