プロフィール完成版(仮)

 東日本大震災の傷跡深い現在。揺れる心のまま自分に出来ることは何か、と考えながら書いています。被災地、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

 今回N社長から頂いたお題は、「緑茶」「紅茶」「烏龍茶」のお茶シリーズ。一見前回のお菓子シリーズと変わらないようですが、社長の思いが込められている、と感じました。
 三月の震災の日、外出先にいたわたしは、寒空の下を三時間ほど歩いて家に帰りつきました。
 玄関ドアを開けると、まるで空き巣に入られたかのよう。扉という扉が開き、あらゆるものが床に散らばっていました。特に本棚のある部屋は、棚に詰め込み過ぎた本が部屋中に散乱していて、足の踏み場もない。いったいこの部屋をどう片づければよいのか?体の力が抜けて、へナヘナとその場に座り込んでしまいました。
 しかしそうやって座り込むのも十分が限界。なぜならとても寒いから。
 幸い電気は通じていたけど、ガスは止まっている。はて、ガスのマイコンメーターはどこにあるのやら、と疲れた体に鞭をうちメーターを探しました(今までそんなことも知らずに暮らしてきたことに自分で驚く)。
 マンション廊下の隠しドア(目につかないドアのことです)の向こうにメーターを見つけ、説明書を読みながらガスの復旧を行いました。
 部屋に戻って、早速やかんを火にかけます。火、ちゃんとつくのかな、おぉ、ついた。
 寒さに震えながら待つこと数分。白い湯気が出て、お湯が沸いたことがわかりました。さて、何を飲もう。緑茶も紅茶も烏龍茶もある。その時ふと手にしたのは、簡易に飲めるティーバッグ。韓国旅行で買ったコーン茶(トウモロコシ茶)のティーバッグでした。
 食器棚を開け、愛用のマグカップを取り出した後、他の食器の破損を確認。食器類はすべて無事でした。コップにティーバッグを入れ、お湯を注ぐ。
 ようやくソファに座り、フウフウと息を吹きかけながらお茶をほんの一口飲みました。少量の温かい水分が喉を通り、胃に落ちていく。コーン茶独特の香ばしい香りが鼻腔に広がり、身体が温まっていく。
 気がつくと涙が出ていました。張りつめていた気持ちが弛み、あぁ、怖かった、と寒さとは違う震えを感じました。
 普段お茶を飲むのは、朝は自分を目覚めさせる儀式であったり、仕事の合間のひとときだったりします。お茶を飲むことで、それまでの自分をリセットし、一休みさせるのです。
 熱いお茶は、その日のわたしを慰め、いたわってくれました。