仕事柄、様々な企業の経営者とお話をする機会を持ちますが、後継者をどうするかについてお悩みの方がとても多いことに驚かされます。
 たしかに、組織の長にとって最大の人事マターは、後継者選択だということは古今東西変わらないことでしょう。豊臣政権が秀吉一代限りとなってしまったのは指名していた後継者、秀頼があまりにも幼少であったからであり、一方徳川政権が260余年続いたのは、将軍職として後継者の決定をシステム化していったことにあるといわれています。企業にとっても社長職の後継をどうするかは企業永続(ゴーイング・コンサーン)を考える上でもっとも重要なことであることには違いありません。
 後継者をどうするかについては、企業の規模によって、その内容が異なるように感じています。大企業においては、社内の中で、誰が適任かを見出すことの困難さが主たる課題となります。
 例えば、企業規模が数千人レベルとなりますと、見渡した限りではとても適任者を見分けることができなくなります。この場合社長が全員を見極めていくことは困難ですので、中間管理職レベルで評価をしながら、幹部候補として徐々に選抜していくことになるのですが、こうしますと社長自らの目で見れば選択するだろう対象者が洩れてしまうということにもなりかねません。
 一方、中小企業においては、逆に適任者を選定すべき母集団自体が存在しないということが悩みの種になります。人材不足は多くの経営者の共通の課題であり、従って社内から自分の後を継ぐべき、いわゆる社長の“おめがねにかなう”人が皆無だとお嘆きの声を、本当に良く耳にします。近頃は社長をヘッドハンティングしてくるといった話も聞きますが、やはり、情からすれば身近な人間を後継者としたいと思う気持ちは当然のことでしょう。
 いずれにしましても、後継者問題は早いうちから手を打つ姿勢が大切です。目の黒いうちは自分が仕切ると考え後継者の選定や育成をおろそかにしていると、土壇場で手痛い仕打ちを蒙ることになります。世の経営者の方々には、どうかそのことを肝に銘じて頂きたいと思います。